お客様との別れ際(残身余情)

「残身余情」

とは色々と解説がありまして、

茶道では

 「一期一会、余情残心」、

弓道では

 「残身」

と使われている言葉のようですが、

私は

「身を残して情を余す」

と勝手に解釈しています。


一般的な使われ方ではないので、言葉自体或いはその使いまわしは覚えていただかなくて構いませんが、

「人間の気持ちはやはりその所作に現れる、心があっても形がなくば伝わらない事もある」

という事を憶えておいて欲しいと思います。


簡単に言うと、

「お客さまとの別れ際、気持ち、笑顔、目線、体の向き、そういったお客様に向かった所作が持続した間を一瞬でも作ってください。」

という事です。


時折、カーディーラーや飲食店など、店を出たお客様の姿が見えなくなるまで見送っている店員さんがいたりします。これは店や会社の方針でやっているのだと思います。正直私は、高級旅館や料亭、高級クラブみたいで、普通の飲食店などはそこまでやらなくていいと思っていますが、子供のころ田舎から帰ってくるときに名残惜しそうにいつまでも手を振ってくれていた祖母を思い出してしまい、やっている事を別に否定しようとは思いません。

(お店を出る際に、これを自分がされるのはあまり好きではありません。車のディーラーはともかく、びっくりする様な金額を払っている訳ではないから、通常の飲食店ではそこまでせずとも見合うサービスでいいよという感じでしょうか…)

他の小売店舗と違って、百貨店も品や格といったものを大切にしますし、モノによってはかなり高級なものを販売しています。だから中に入っている店舗によっては、こういうお見送りが必要な店舗もあろうかと思います。

ただ、ひっきりなしに来られるお客さまを相手にしないといけない催事等の販売の現場においては、姿が見えなくなるまで、お見送りしている余裕は有りません。

ですが、

「有難うございました」とお辞儀をするなり(人によっては動作が完全に終わる前から)、まだお客様が販売員に身体を向けているのにも関わらず陳列を始めだしたり、違うお客様に向き合ったりすると、その瞬間にお客様は「買う時だけお金を払う時だけ大事にされる」と感じてしまいます。つまり「買わされた」と思われます。

「売り終わった(動作の)後に、一瞬でもいいから少しの間、買ってくださったお客様を思いやる(出来たらお客さまの顔を見て)」そんな時間(間合)を作ってほしいのです。



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